ギガファイル便上に掲載するアンケート調査サービス「トレンドハンター」にて、
「年末に観るテレビ番組」 に関する調査を実施しました。
年末に観るテレビ番組、何を選ぶ?
アンケートで見えた「年の終わり方」の変化
年末に、どのテレビ番組を観るか。
この問いは一見、単なる好みの話に思えるかもしれません。
しかし実際には、
「一年をどう終えたいか」
「誰と、どんな時間を過ごしたいか」
といった、生活の選択が色濃く反映されます。
働き方や家族の形が多様化する中で、
年末の過ごし方もまた、静かに変化しています。
そこで今回、トレンドハンターでは
「年末に観るテレビ番組」 についてアンケート調査を実施しました。
生活者の“今の年末”が、数字として浮かび上がってきています。
アンケート結果:年末のテレビ視聴で見えた全体傾向
今回のアンケート結果から、
まず明らかになったのは次の点です。
-
年末に観る番組は「話題性」より「例年通り」が強い
-
若年層ほどテレビに縛られていない
-
中高年層では“変わらなさ”が安心材料になっている
年末のテレビは、
娯楽というより 生活リズムを整える装置 として
選ばれている様子がうかがえます。
-
NHK紅白歌合戦は全年代で最多
→ 特に50代で突出しており、「年末の区切り」としての役割が依然強い -
若年層ほど「この中にはない」の割合が高い
→ テレビ以外の選択肢(配信・SNS)への分散が進行 -
40〜50代では“定番+ドラマ枠(孤独のグルメ)”が強い
→ 年末は刺激より「安心して観られる番組」が選ばれている
| 番組名 | 10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代~ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 第58回 年忘れにっぽんの歌 | 11 | 12 | 32 | 32 | 29 | 11 | 7 |
| ザワつく!大晦日 | 3 | 19 | 26 | 21 | 32 | 28 | 3 |
| ヒロミが解決!八王子リホーム 大晦日SP | 5 | 10 | 16 | 22 | 31 | 12 | 3 |
| 第76回 NHK紅白歌合戦 | 29 | 89 | 91 | 98 | 148 | 74 | 10 |
| 新しいカギ カギダンススタジアム 年またぎSP | 3 | 12 | 13 | 8 | 4 | 1 | 0 |
| CDTVスペシャル | 3 | 23 | 19 | 19 | 12 | 8 | 0 |
| 孤独のグルメ2025 大晦日スペシャル | 6 | 24 | 28 | 35 | 40 | 9 | 3 |
| この中にはない | 23 | 69 | 68 | 86 | 79 | 37 | 8 |
全体傾向:年末テレビの中心は、いまも「紅白」
クロス集計全体を見ると、
NHK紅白歌合戦はすべての年代で最多回答 となっています。
特に40代〜50代での回答数が突出しており、
紅白は単なる音楽番組というより、
-
一年が終わることを実感する
-
家族や同じ空間を共有する
-
「今年も終わった」という区切りをつける
といった、年末の象徴的な装置 として機能していることが分かります。
若年層に見える「テレビからの距離感」
10代・20代のデータで目立つのが、
「この中にはない」という選択肢の多さです。
これは必ずしも
「テレビを観ていない」という否定ではなく、
-
配信サービスを併用している
-
テレビはついているが、主目的ではない
-
観たい番組が明確に決まっていない
といった、テレビとの関係性が曖昧になっている状態 を示しています。
若年層にとって年末のテレビは、
“観るイベント”ではなく、
生活の選択肢のひとつ に過ぎなくなっているのです。
40〜50代に強く現れる「例年通り」という価値
一方、40代・50代では
紅白に加えて、
-
孤独のグルメ 大晦日スペシャル
-
ザワつく!大晦日
-
八王子リホーム 大晦日SP
といった、毎年放送される定番番組 が安定して選ばれています。
この世代にとって年末のテレビは、
-
新しい刺激を得るもの
-
情報を取りに行くもの
ではなく、
安心して流せる「背景」 であることが重要です。
年末は“何かを頑張る時間”ではなく、
一年を静かに終える時間。
そのニーズに、定番番組が応えていると言えます。
高年齢層では「テレビ=年末そのもの」
60代以上では、
紅白や年忘れにっぽんの歌といった
長年親しまれてきた番組 が選ばれています。
ここではテレビが、
-
年末の風物詩
-
孤立を防ぐ生活音
-
日常と非日常を切り替えるスイッチ
として機能している様子が見て取れます。
テレビは娯楽というより、
生活インフラに近い存在 です。
「この中にはない」回答の多さ。年末の主役が「番組」から「過ごし方」に移っている?
かつての年末は、
-
紅白を見る
-
特番を見る
= 年末の過ごし方そのもの
でした。
しかし現在は、
-
配信で好きな作品を少し見る
-
テレビはついているが目的ではない
-
家族と話しながら、スマホも触っている
といった
“年末の時間の背景”としてのテレビ が増えています。
つまり、
「どの番組を見るか」
より
「どう過ごすか」
が先にあり、
番組名を特定しない人が増えているのかもしれません。
つまり、
「この中にない」
=
「テレビを軸に年末を組み立てていない」
という、
生活設計の変化 が数字に出ています。
筆者目線:テレビは「観られなくなった」のではない?
今回の調査から言えるのは、
テレビが衰退したのではなく、
役割が変化した ということです。
年末のテレビは、
強く主張するメディアではなく、
生活に溶け込む存在になっています。
こうした変化を正しく捉えるには、
単純な視聴率や話題性ではなく、
生活者の選択そのものを見る必要があります。
編集後記
年末という特別な時間ほど、
人の行動は「正解」ではなく
「無理のなさ」で選ばれます。
今回のクロス集計は、
テレビ番組の人気を示すデータであると同時に、
世代ごとの生活リズムや価値観の差 を
静かに映し出していました。
トレンドを語るとき、
派手な変化ばかりに目を向けがちですが、
こうした“変わらない選択”の積み重ねこそが、
社会の実像なのかもしれません。
トレンドハンターについて
トレンドハンターは、
1日約150万PVを誇るギガファイル便上にアンケートを掲載 することで、
アンケート慣れしていない生活者の
自然で率直な声 を短期間で収集できる調査サービスです。

