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『トレンドハンター調査結果』バレンタイン誰にあげますか?~「恋愛イベント」ではなくなった?数字が語る、今の渡し方・考え方~

バレンタインは「恋愛イベント」ではなくなった?

アンケートで見えた“渡す相手”と“理由”の変化

かつてバレンタインデーは、恋人や好きな人にチョコレートを渡す、
いわば「恋愛を前提とした年中行事」だった。

しかし近年、その意味合いは大きく変化している。
義理チョコの縮小、職場での配慮、自分用需要の拡大など、
バレンタインは静かに再定義されつつある。

そこで今回、トレンドハンターでは
「バレンタインで誰かに渡す方に質問します。誰にあげますか?」
「渡す理由は何ですか?」
という2つの設問を軸に、アンケート調査を実施した。

本調査から見えてきたのは、
バレンタインが“想いを告白する日”から
関係性を調整するイベント へと変化している姿である。

トレンドハンターとは

トレンドハンターは、
1日約150万PVを誇るギガファイル便上にアンケートを掲載できる調査サービス である。

アンケート回答を目的として集まった人ではなく、
ファイル送受信という本来の目的で訪れたユーザーに
自然に接触することで、

  • 誘導されにくい

  • 生活感のある判断が集まりやすい

  • 今の空気感が数字に表れやすい

といった特徴を持つ。

今回のバレンタイン調査でも、
形式的ではない“選ばれ方”が結果に反映された。

誰に渡す?最多は「家族」と「その他」

まず、「誰にあげますか?」という設問の単純集計を見ると、
以下のような結果となった。

  • その他:36%

  • 家族:35%

  • 恋人・好きな人:15%

  • 仕事関係の人:8%

  • 友達:6%

注目すべきは、
「家族」と「その他」で全体の7割以上を占めている 点である。

恋人・好きな人向けは15%にとどまり、
かつて主役だったポジションは、もはや中心ではない。

筆者目線:「その他」が多い理由は“分散”

「その他」が最多となった背景には、
バレンタインが特定の相手に絞られなくなった現実がある。

  • 複数人に少しずつ渡す

  • 自分用・シェア用・まとめ買い

  • 明確な属性に当てはまらない関係性

こうしたケースは、
「家族」「恋人」「仕事関係」といった
従来の分類では捉えきれない。

つまりバレンタインは、
“誰か一人に向けたイベント”から
“関係性を広く薄く扱うイベント”へと変化している
と言える。

渡す理由の最多は「日頃の感謝」

次に、渡す理由の単純集計を見てみる。

  • 日頃の感謝を伝えたいから:39%

  • 相手が喜びそうだから:17%

  • 自分が選ぶのを楽しんでいるから:15%

  • コミュニケーションのきっかけにしたいから:9%

  • 習慣として毎年渡しているから:8%

  • その他:8%

  • イベントとして雰囲気を楽しみたいから:3%

ここで明確なのは、
恋愛的な動機が理由の中心ではない という点だ。

最も多いのは「感謝」。
次いで「相手が喜ぶ」「自分が楽しむ」。

バレンタインは、感情をぶつける日ではなく、気持ちを穏やかに共有する日 へと変わっている。

クロス集計で見えた「相手ごとの役割」

「誰に渡すか × 渡す理由」のクロス集計を見ると、
バレンタインの役割分担がより明確になる。

  • 家族向けは「日頃の感謝」が圧倒的

  • 恋人・好きな人は「喜ばせたい」「雰囲気を楽しむ」傾向

  • 仕事関係は「コミュニケーションのきっかけ」としての役割が強い

  • 「その他」は自己充足型(選ぶ楽しさ・多様な理由)が目立つ

渡す相手\理由 日頃の感謝を伝えたいから 相手が喜びそうだから 習慣として毎年渡しているから コミュニケーションのきっかけ 自分が選ぶのを楽しんでいるから イベントとして雰囲気を楽しみたいから その他
家族 247 64 30 9 17 2 1
友達 23 19 11 4 3 5 2
恋人・好きな人 34 59 21 15 7 16 2
仕事関係の人 29 8 11 18 8 3 3
その他 76 27 12 53 123 5 76

家族に渡す理由は「感謝」が圧倒的

家族向けでは
「日頃の感謝を伝えたいから」が突出して多い。

ここでのバレンタインは、
サプライズではなく、
日常を補足するコミュニケーション である。


恋人・好きな人には「喜び」と「雰囲気」

恋人・好きな人向けでは、

  • 相手が喜びそうだから

  • バレンタインの雰囲気を楽しみたい

といった理由が相対的に高く、
イベント性は完全には失われていない。

ただし、それは“特別視”ではなく、
関係性を円滑に保つための演出 に近い。


仕事関係は「きっかけ作り」

仕事関係の人に渡す場合は、
「コミュニケーションのきっかけ」が目立つ。

義理というより、
距離を縮めすぎないための潤滑油 として
機能していることが分かる。


「その他」は楽しさと自己満足の領域

「その他」では
「自分が選ぶのを楽しんでいるから」が多く、
バレンタインが
自己充足型イベント として消費されている側面が強い。


筆者まとめ:バレンタインは「想いを伝える日」から「関係性を調整する装置」へ

今回の調査結果が示しているのは、バレンタインが衰退したのではなく、役割を変えた という事実である。

そもそもバレンタインの起源は、
3世紀のローマにおいて、
結婚を禁じられた兵士たちを密かに結びつけた
聖ヴァレンティヌスの殉教 に由来するとされている。

そこにあった役割は、
「制度や制約の中で、個人の想いを守ること」 だった。

つまり本来のバレンタインは、
強い感情を公に表明するための祝祭ではなく、関係性をつなぎ直すための行為 だったと言える。


日本におけるバレンタインの役割変化

日本にバレンタインが定着したのは戦後以降。
チョコレート産業のマーケティングとともに、

  • 恋愛感情を伝える日

  • 告白のきっかけ

  • 男女の役割が分かれたイベント

として独自の進化を遂げた。

しかしこの形は、
本来のバレンタインの役割というより、
高度経済成長期の人間関係と消費構造に適合した一時的な姿
だった可能性が高い。


今回のアンケートが示す「原点回帰」

今回の調査結果では、

  • 渡す相手は「恋人」より「家族」「その他」が中心

  • 理由は「愛情」より「感謝」「関係維持」「楽しさ」

  • 一点集中ではなく、分散・調整型

という傾向が明確に表れた。

これは、
バレンタインが「特別な感情を伝える日」から、
日常の関係性をなだらかに整えるための装置
へと再定義されていることを示している。

今回のアンケート結果を
「恋愛色が薄れた」「義理がなくなった」と捉えるのは、
表層的な理解にとどまる。

実際には、

バレンタインは
“感情をぶつけるイベント”から
“関係性を設計する文化”へと進化している。

言い換えれば、
バレンタインは“軽くなった”のではない。
役割が高度化した のである。

バレンタインは、
もはや「恋をする人のための日」ではない。
関係を続けたいと願う人のための日 になっている。

編集後記

今回の調査結果を見て、
「バレンタインは変わってしまった」と感じる人もいるかもしれない。

恋人に渡す人が減り、
義理の習慣は薄れ、
理由もどこか穏やかで、現実的だ。

しかし、数字を追えば追うほど、
それは衰退ではなく、調整の結果 だと感じさせられた。

強い感情を前提としなくてもいい。
誰かを特別扱いしなくてもいい。
それでも関係を続けたい、気持ちは伝えたい。

そんな現代の距離感に、
バレンタインというイベントが
静かに寄り添い直しているように見える。

かつてのバレンタインが
「想いを伝える覚悟」を求める日だったとすれば、
今のバレンタインは
関係を壊さずに続けるための知恵 に近い。

重くならず、
押し付けにならず、
それでも何もしないわけではない。

その絶妙なバランス感覚こそが、
今回のアンケート結果の本質だろう。

バレンタインは、
なくなったのではない。
私たちの人間関係に合わせて、形を変えただけ なのだ。

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トレンドハンターは、
ギガファイル便(1日約150万PV)を活用し、
生活者の自然な行動文脈の中で
リアルな声を収集するアンケート調査サービスである。

表面的なトレンドではなく、
意思決定の背景まで読み解きたい 方は、
ぜひトレンドハンターをご活用いただきたい。